よくわかる糖尿病講座
糖尿病とは? 低血糖とは? 三大合併症 経口血糖降下薬について インスリン製剤の基礎知識 SMBG(血糖自己測定)とは Sick day
 
  ○三大合併症とは  
   
  1.糖尿病網膜症  
   
  2.糖尿病腎症  
   
  3.糖尿病神経障害  
   
  4.まとめ  
   
     
 
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ステップC 三大合併症(2)

2.糖尿病腎症
 腎臓は、血管に富んだ臓器で、生命を維持するのに欠かせない『重要な働き』をしています。糖尿病による高血糖状態が長く続くと、腎臓の血管が障害され、その働きが徐々に低下していき、これを放置していると最終的には腎臓がほとんど動かなくなって『腎不全』となり『透析治療』なしでは、生命を維持できなくなります。

糖尿病性腎症による透析患者数は2015年末で14万2019人
新規透析導入者16072人で、原因疾患の第1位!!


※クリックで拡大します。

■糖尿病性腎症の病期分類

病期 尿タンパク値(g/gCr)
あるいは
アルブミン値(mg/gCr)
腎機能・GFR(eGFR)
(ml/分/1.73m2)
有効な治療法
第1期
(腎症前期)
正常
(30 未満)
30以上 血糖コントロール
第2期
(早期腎症期)
微量アルブミン尿
(30〜299)
30以上

厳格な血糖コントロール

降圧治療

第3期A
(顕性腎症期)
顕性アルブミン尿
(300 以上)
あるいは
持続性タンパク尿
(0.5以上)
30以上

厳格な血糖コントロール

降圧治療、タンパク質制限

第4期
(腎不全期)
問わない 30未満

降圧治療

低タンパク食、透析療法導入

第5期
(透析療法期)
透析療法中

透析療法

腎移植

糖尿病性腎症の第2期(早期腎症期)では、ごく微量のタンパク質(微量アルブミン)が漏れ出てきますが、適切な治療によってタンパク質が漏れ出ない状態に戻すことができます。腎症が進行するともう少したくさんのタンパク質が尿に出てくるようになります(タンパク尿)。ここまで進行すると、次第に血圧も上昇し、高血圧によって血管が傷つけられ、さらに腎臓の状態を悪化させるという悪循環に陥ってしまいます。

糖尿病性腎症の第1期、第2期では自覚症状はほとんどありません。このため、尿の検査をしないと判断できないのです。第3期では、むくみ・息切れ・胸苦しさ・食欲不振・満腹感などの自覚症状があり、第4期・第5期では、顔色が悪い・易労感・嘔気あるいは嘔吐・筋肉の強直・つりやすい・筋肉や骨に痛みがある・手のしびれや痛み・腹痛と発熱などの自覚症状があります。第3期以降では、進行を遅らせることはできても、良い状態に戻すことはできないため、第2期の段階までで糖尿病性腎症をみつける必要があるといえます。

★腎症の発症、進行を食い止めるには??
血糖コントロール、血圧の管理、摂取たんぱく質量の制限が、腎症の治療の『カギ』となる!

■糖尿病性腎症の食事基準

病期 総エネルギー
kcal/kg
※1/day
タンパク質
g/kg
※1/day
食塩
(g/day)
カリウム
(g/day)
備考
第1期
(腎症前期)
25〜30   制限せず
※2
制限せず 糖尿病食を基本とし、血糖コントロールに努める。タンパク質の過剰摂取は好ましくない。

第2期
(早期腎症)
25〜30 1.0〜1.2 制限せず
※2
制限せず  
第3期
(顕性腎症期)
25〜35 0.8〜1.0 7〜8 制限せず
〜軽度制限
浮腫の程度、心不全の有無により水分を適宜制限する。
第4期
(腎不全期)
30〜35 0.6〜0.8 5〜7 1.5  
第5期
(透析療法期)
透析療法患者の食事療法に準ずる    

※1 標準体重
※2 高血圧合併例では6gに制限する

3.糖尿病神経障害
糖尿病が原因で、神経が障害される病気で、脳や脊髄のような中枢神経を除く手足などの末梢神経障害をいいます。
『手足の痺れや痛み、立ちくらみ、発汗異常、便秘、下痢、排尿障害』などを始め、全身に様々な症状が現れます。
 合併症の中でも、頻度が高く、しかも比較的早いうちから症状が現れるのが特徴です。進行すると痛みを感じなくなるため、ちょっとした傷から『壊疽』を起こしたり、『無痛性心筋梗塞』を起こします。

■糖尿病神経障害は、まずこのような症状から始まります!
・安静時や睡眠中によく足がつる。
・手足がしびれたり痛む。
・手や足先が鈍感になり、ほてったり、冷たく感じる。

■これが糖尿病神経障害だ!!


 合併症の自覚症状は初期には全くないか、極めて少なく、しかも『今日治療を始めたから、明日から治り始める』というものでもないのです。向こう何年か進行する場合があるので、今すぐ治療を始めましょう。
 何か気になる症状があれば、例えば「足の痺れや、神経痛くらい大したことはないだろう」などと自分で勝手に判断しないで、すぐに医師に相談してください。


■足のケアを!!

  • きちんと足にあった靴を選びましょう。
  • 毎日足をよく観察し、清潔に保ちましょう。
    タコや赤くなったりしているところがあれば、医師に見せましょう。
  • 爪は正しく切りましょう。
  • 足の傷は医師による治療を受けましょう。
  • 運動すると足の痛みがひどくなる人、また逆に痛みを感じない傷があるときには直ちに医師に申し出てください。
  • 素足を避けて、靴下を履いて傷から足を守りましょう(5本指靴下も水虫予防でオススメです(^_^))。
  • やけどに注意しましょう。カイロ,電気あんかなどでの低温やけども要注意です。

4.まとめ
(1)糖尿病の合併症を防ぐために最も必要なのは、
「血糖コントロール!!」
血糖を正常状態にコントロールしていれば、たとえ糖尿病があっても合併症を予防することが出来ます。

(2)さらに脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす大血管障害予防のためには「血中脂質と血圧コントロール」も必要です。

(3)『肥満』は、糖尿病と密接な関係があり、血糖を下げる唯一のインスリンというホルモンの働きを悪くします。
(4)『喫煙』についても、動脈硬化の危険因子となり、特に足病変のある糖尿病患者さんでは、リスクが高くなります。タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させたり、傷めたりして血流をいっそう悪くします。禁煙を心がけましょう。

 
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赤池循環器消化器内科