赤池内科症例集
当院の患者様の症例をご紹介します。
症例1
<シックディ H18.1.21> 73歳 男性 農業 BMI26.4
糖尿病罹病歴5年、二相性インスリンアナログ製剤・2回注射法の2型糖尿病患者。
HbA1c6,5%と血糖コントロールはほぼ良好。
1月20日の16時頃より急にめまいがして、頭を動かすと吐いた。嘔吐のため夕食を摂取しなかった。患者の話では「食事摂取してないので、低血糖になったら困ると思い、夕のインスリン注射をしなかった」ということであった。 翌朝、めまいは持続していたが、嘔気は軽減したため、インスリンを指示通り打ち朝食を軽く摂取した。その後、当院受診。
(来院時データ)
血糖503mg/dl
血圧198/86mmHg
1/20 夕食(−) インスリン(−)
1/21 朝食(+) インスリン(+) |
※シックディルールについては、以前に説明してあったが十分に理解できてなかったようである。
(問題点)
- 食事が出来ない時は、インスリン注射すれば低血糖になると思い、しない方がいいだろうと自分で勝手に解釈した。
- シックディルールについての説明がいかされていない。
- 血糖自己測定をしていない(説明はしているが、SMBGを拒絶している)。
- 自分以外は車の運転ができないので、翌日に状態がましになってから受診した。
(対処法)
シックディルールの説明を繰り返し行った。
- インスリンを中止してはいけない
シックディには、その原因がどんなささいな病気でも血糖コントロールが乱れて、糖尿病が悪くなりやすく、風邪・下痢・嘔吐などの病気も治りにくくなり悪循環が起こること、そのため血糖コントロールがよい人でも高血糖が起こることを説明。
- 食事摂取の工夫
食欲がないときは、無理にいつもの食事計画に従わないで口当たりがよく消化の良い食物を少量ずつ頻回に摂取してもらう。果汁、スープ、スポーツドリンク、おかゆなど。特に糖質と水分は確保することが重要。
- 脱水の予防
脱水にならないために水分補給をまめに行い、電解質も十分に摂るようにする。1日6〜8杯の水を摂取してもらう。
- 医療機関への連絡・受診について 原因となった病気を診断・治療するために、早いうちに病院に連絡して診察に来るよう説明。インスリン量をどうするかは主治医と相談する必要がある。また、嘔吐のために水分・食事の摂取が十分出来ない状態なら、制吐剤や点滴が必要となるため早急に受診の必要がある旨を説明した。
- 血糖自己測定を覚えて、スライディングスケール法によるシックディ時のインスリン量調節を理解することが望ましい。 誤った自己治療を行うと場合によっては危険な状態になることもあるので、予防のためにもシックディについて十分な理解をしてもらう必要がある。